入門40年目のオーディオ初心者!~その5 スタックスのイヤースピーカー

初めてスタックスと言う会社のヘッドフォン(スタックスは「イヤースピーカ」と呼んでいますが)の事を知ったのはたしか80年代後半、学生時代だったと思います。SR-Σ(シグマ) Pro.と言う、箱のようなフォルムの製品が気になりました。スタックスのイヤースピーカは普通のダイナミック型の製品と比べコンデンサ型で、非常に薄い振動幕を採用しているため、原音に忠実で繊細な音がするとの評判でした。また、ヘッドフォンはスピーカで聞く時の様に音が前から来ず、頭の中央に定位するのが欠点と言われていますが、スタックスの中でもこのモデルは発音ユニットが耳のやや前方についているために、スピーカのように音が前方定位するというのが売りでした。それで秋葉原の石丸電気で試聴してみたのですが、その時は何か遠くから聞こえてくるような、もやっとした感じの音に感じられ、ちょっとがっかりした事を覚えています。。

それから約十年(何がきっかけだったのか覚えていませんが)スタックスの事を思い出し、初級クラスのイヤースピーカ、SR-303を購入しました。これはまさに原音に忠実、繊細そのものの音だったと思います(後述のようにその後オメガⅡを買ったので、このモデルの音に関しては記憶があいまいです)。ただ、低音の迫力がちょっとなかったような。。。

その後、携帯用の小型イヤースピーカ、SR-001も買ったのですが、はるかに小型で気軽に扱えるダイナミック型のETYMOTIC RESEARCH(エティモティックリサーチ)のER-4Sに音質的にもかなわず、すぐに手放してしまいました。

スタックスのイヤースピーカの最高峰、オメガⅡ(SR-007)に対するあこがれはいつもありましたが、2002年、引っ越したついでにオーディオ環境を少し充実させたくて、ついに購入を決断しました。ドライバー(いわば専用アンプ)との組み合わせで30万円くらいしたと思います。このイヤースピーカと大阪の逸品館と言うオーディオ専門店が販売しているCD-1と言うCDプレーヤとのコンビでクラシックのCDを聞くと、コンサート会場の残響まで聞こえて来るようになり、本当に感動しました。特にバイオリンの音色がすごく甘美でした。

ただ、後で実験して分かったのですが、この「豊かな響きや甘美な色付け」はCD-1のお仕事であり、オメガⅡは(良かれ悪かれ)伝えられた音を恐ろしく忠実に再現しているだけでした。「悪かれ」と書いたのは、例えばクラッシックの1960年代のいわゆる「名演」は録音の差が激しいのですが、録音の悪いものはそのまま悪く出てがっかりしたことがありました。これまでの愛聴盤がこんなに音が悪かったのか、と分かった時の軽いショックです。