ジャズとの出会い~山下洋輔トリオがきっかけに

中学生の時にクラシック音楽に出会ってから、大学六年生(実は二年留年しました…)まではクラシックばかり聞いていました。モーツアルトやベートーヴェンなどの古典派から始まり、前期ロマン派を飛び越えてワーグナー・マーラーなどの後期ロマン派、そして最後にシェーンベルクやアルバン・ベルクなどの現代音楽にたどりつきました。古い方から時代に沿って新しく前衛的なものを聞くようになりました。

1986年、就職するか大学院に行くか迷いがあったり、非常にストレスが溜まった状態で「もっともっと前衛的な音楽を聞いてうっぷん晴らしをしたい!」と思っていた矢先、山下洋輔トリオのフリージャズに出会い衝撃を受けました。クラシックの前衛芸術と言うと無機的で感情がない暗く冷たい音楽なのですが、山下洋輔トリオの音楽は熱く破壊的、スピードとスリルに満ちていながらスカーン!と突き抜けた感じがしてとても爽快でした(山下氏は自身のジャズを「ドシャメシャ・ジャズ」と呼びプレーヤー同士の掛け合いをプロレスに例えています)。

特に1976年スイス、モントルー・ジャズ祭のライブ録音「モントルー・アフターグロウ」はみなさまも必聴ものです(あまり音量を上げるとスピーカやヘッドフォンや、最悪耳が壊れますのでご注意)。当時トリオのアルトサックス奏者だった坂田明が、感極まってあの「ハナモゲラ語」によるボーカルを披露してくれます。

私がよく聞いたのは1970年代半ばから後半録音のレコードでしたが、1986年当時、山下氏自身は抒情的な傾向も示し始めており、その影響か、次第にフリージャズから時代をさかのぼって、まっとうな(?)モダンジャズも聞く様になりました。

モダン・ジャズでも最初はちょっと異端(?)のセロニアス・モンクなんかを聞いていましたが、次第にジョン・コルトレーンやバド・パウエルやデクスター・ゴードンやら女性シンガーやらも聞く様になり、ジャズの王道を歩むようになりました。

 クラシック古典派→クラシック現代音楽(前衛)→前衛ジャズ→モダンジャズと言う経緯でジャズにたどりき、その懸け橋になったのが山下洋輔トリオ、というお話でした。おしまい。