剣道を始めたきっかけは、小学校三年生の時に母が私を無理やり近くの道場に連れて行ったことでした。子供のころから気が弱く何にでも怖がりな私の将来を心配してのことだったと思います。地域にあった企業(父も勤めていました)の剣道部が主宰する道場で、二十代後半から五十代くらいの先生が私たち小学生をとても丁寧に教えてくれました。練習は週二回か三回くらいありました。近所の友達と一緒に通っていて、その子がいつも私の家まで誘いに来るのですが、始めてすぐの頃は行きたくなくて「やだやだ!」と駄々をこねていた記憶があります。でも、正月明けに寒稽古がありぜんざいが振る舞われたりして、それは楽しい思い出になっています。
中学、高校では剣道部に入りました。中学では先輩・後輩の関係が厳しく、一年生の時は練習がとてもつらかったですが、上級生になると部の運営もある程度自分たちの意思でできるようになり、少しずつ楽しくなりました。部員の中ではまあまあ強い方で、団体戦ではレギュラーメンバー(中堅、副将あたり)を務めてました。団体戦では市の大会で優勝することも何度かありましたし、県大会では準優勝、三位くらいの成績でした。中学卒業前に初段、高校二年の時に二段を取りました。
このように、まさに青春は剣道と共にあったのですが、実は、もう30年以上も縁遠くなっています。最後にやったのが大学三年生の体育祭の時。大学では剣道はやっておらず、竹刀を握るのは浪人時代も含め約4年ぶりでした。飛び込みで試合に参加したのですが、一回戦、それもあっという間(おそらく10秒くらいの間)に二本とられて敗退。それは剣道人生で初めての屈辱的体験でした。それ以降、剣道とは縁がなくなってしまいました…
ただ、保育園から小学校低学年までは気が弱く成績も普通だった私が、中学では生徒会副会長、高校では学級代表を務めたりできたのも、剣道をやったおかげだと思います。大きな声ではっきり話すようになりましたし、成績も随分上がったように思います。心と体、そして頭を鍛えるには、剣道は最適のスポーツだと思います。今は、剣道をやらせてくれた両親にとても感謝しています。